久しぶりに本を読みました。アクセス解析関連の書籍です。
計347ページにもなる本だったので、かなり読み応え&読むのに時間がかかりました(汗)。
本の目次
Chapter1 改善ポイントの見つけ方
Chapter2 項目別の改善策とノウハウ
Chapter3 分析結果の活用方法
Chapter4 Googleアナリティクスの主要機能と情報リソース
この本のおすすめ対象者
著者はアクセス解析やWEBアナリストとして有名な小川卓さんです。
ホームページWEBサイトの修正や改善って、なんとなくここが見にくい、ここが使いにくい、ここのデザインが良くない、というような数値に裏付けされない主観的なあいまいな憶測で手を加えると、たいていの場合思ったような成果が出なかったり結果につながらなかったりする事が多いです。
そこをアクセス解析やヒートマップツールなどの分析ツールを上手に活用して、訪問ユーザのサイト内での行動パターンを数値で視覚化して、客観的な数値に基づいたサイト修正・改善を行っていたほうが良いですよ、というのが大前提にあるわけです。
ですので、この本のおすすめ対象者は、WEBサイト運営者の方です。
ビジネスで使用している企業やお店のWEBサイトの管理者・運営者や、趣味などでアフィリエイトのブログを書いている人におすすめです。
この本を読めば、どこに着目してどのようにWEBサイトを改善していくべきかの基本的な考え方を学ぶことができます。
では、次に具体的な本の内容と感想を。
本の内容・感想
著者がこれまで仕事で携わったWEBアナリストの仕事の中で培ったスキルとして、解析データをどう見て、どこに着目し、どうWEBサイトの改善手法につなげていくべきかの手法が、いろいろなパターンに応じて詳しく紹介されています。
結構なページ数なので、自分自身がここはとても良いなと思った点をいくつか記したいと思います。
最初に目標を明確に設定する
最初にWEBサイトの目標を明確に設定する必要があるという事です。
WEBサイト自体をなんとなく目的もなく運営すると、いろいろな修正や改善が基本となる軸がないので、ブレブレのその場しごきになってしまって、行った修正がそもそも何のものだったっけ?という事に陥りますし、WEBサイト自体が何が云いたいのか・伝えたいのか分からないサイトになってしまいがちです。
全ての修正・改善はWEBサイトの目標のために行うという手段であるべきだ、という考えです。
そして目標設定においては3つの要素「指標」「数値」「期間」を決めるべきだとも。
例えば、「2014年度のWEBサイト上での通販売り上げを1200万円にする」みたいな感じです。
そして目標設定が完了したらKPI設計です。
KPI設計
ゴールを設計した後は、次はそのゴールに向かうためにどこをどう改善していけばいいかという注視していくべき指標がKPI(Key Performance Indicator)です。
「たとえば↑上記の目標を達成するには平均客単価は10, 000円で1200件の注文が必要で、購入率は1%なので(100人中1人が購入)、そのためにはWEBサイトへの訪問者数は年間に1, 200, 000件に必要だ」
というように、売上という最終目標の前のステップを分解して、各ステップ毎の指標に分解して、それらの指標をKPIに設定してチェックしていけば、目標を達成するための各ステップ毎での必要な数値が把握できるので、サイト改善・運営が俄然やりやすくなる訳です。
おおざっぱに売上xx円を達成するぞ、といっているだけでは、どこをどう改善したらいいのか分からないですから。
この目標設定とKPI設計で自分が特にこれは良いなと思ったのは、「ビジネスロードマップ」というフローチャートの作成です。
これは著者が独自で考えたフォローチャートで、目標の設定とその目標からのKPIへの落とし込みを視覚化したものです。
何が優れているかというと、「ビジネスの現状を1枚の図で把握できる」「ビジネスにおける課題発見と目標およびKPI設計ができるようになる」という点です。
非常に感銘を受けたので、自分の運営しているWEBサイトのビジネスロードマップを作成してみたところ、今までになかった気づきを得る事ができ、何を改善すべきかが明確にすること出来ました。これは本当に使えるのでおすすめです。詳しくは著書にてご確認下さい。
セグメント別分析
これは例えばサイト訪問者をひとくくりに見るのではなくて、何らかの区分で分類して、その分類ユーザ毎での違いを見るという考えです。
例えば、「新規訪問とリピート訪問」であったり、「PC訪問者とスマートフォン訪問者」であったり、「商品を購入してくれたユーザと購入してくれなかったユーザ」といった、分類別に分けて、データを見るという考え方です。
そういった分類で分けてデータをそれぞれ見ると、いろいろな気づきを得る事ができます。
例えば、
「リピータの人に比べて新規の人はこのページの次ページを見てくれない(離脱率が高い)、という事は、新規の人にとってこのページは説明が分かりづらいのかな」
「PC訪問者は購入してくれるけど、スマートフォン訪問者は購入してくれない、という事は購入手続きのページがスマートフォンユーザにとって使いにくいのかな」
「商品を購入してくれるユーザはこのページを見てくれている人がとても多いので、トップページの目立つ場所にこのページへの誘導リンクバナーを貼ってみようかな」
などといった、気付きです。
確かにWEBサイトの訪問者を”訪問者”というたった一つで括っていては、何の気づきも得られず、サイトの改善案も浮かばないものです。
ちなみにこのセグメント別分析は、googleAnalytics(現:ユニバーサルアナリティクス)なら簡単にやることができるので、おすすめのツールです。
まとめ
本当は他にも学んだことや参考になったことはたくさんありますが、申し訳ないですがここでは割愛させて頂きますね。詳しくは書籍でご確認下さい。
本自体はとても読み応えがあり内容も充実していて、書籍のタイトルの通り、まさしく「Webサイトの分析・改善の教科書」だと思います。
学んだ事は、こちらもタイトル通り、「今後のWEBサイトの分析・改善に活かしていきたい」と思っています。
WEBサイトを分析・改善して、WEBサイトを上手にビジネスで活用していきたいという、前向きなWEBサイト管理者・運営者やネットショッピングサイトの運営の方などには特に参考になるおすすめの一冊だと思います。